抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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マルチコアシステム上で多数のスレッドが同時実行される場合,メモリアロケーションがボトルネックになることがある。これは,複数のスレッドから同時にシステムコールが呼ばれることに起因する。TCMalloc,JEmalloc,SuperMallocなどの従来の汎用用途向けのメモリアロケータでは,各スレッドのローカルヒープメモリへロックフリーでアクセスすることで高速化を実現している。これに対して本稿では,完全準同型暗号計算を対象にしたFCMallocを提案する。完全準同型暗号計算ではメモリ使用量が既知の場合が多く,さらに,ある決まったパターンでメモリアロケーションが繰り返されるという特徴がある。こうした特徴を利用し,FCMallocではpseudo freeによってメモリマッピング情報を繰り返し利用することで,物理メモリレベルでメモリプールを用いる。さらに,ローカルヒープメモリ間の通信経路の構造を全結合とすることで,複数のスレッドによるアクセスのロック競合を減少させる。すなわち,システムコールの頻度を下げ,メモリ管理をできる限りユーザ領域で実現することにより高速化を実現する。完全準同型暗号上で構築した頻出パターンマイニングアルゴリズムであるAprioriアルゴリズムを対象とした評価実験の結果,既存手法の中で最も高速であるJEmallocと比較して2.4倍の高速化を達成した。(著者抄録)