抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,交通まちづくりの重要課題の一つである「地域の活性化に資する交通計画」に対象を絞り,その考え方と事例について,検討したものである。交通まちづくりの時代背景を理解するとともに,「地域の活性化」を「活動参加力」の増大として捉える視点を議論した。それは,目前の渋滞を緩和するということに留まらず,通勤,通学,買物,通院により職を確保し,学び,生活に必要な物を入手し,健康を維持し病気を直すという「人間らしい生活」を支える交通サービスを提供するという交通計画の基本的役割を果たすことにより,達成されることを確認した。地域の活性化に資する交通計画とは,この基本的役割の理解を踏まえて,「都心等の活動拠点へのアクセシビリティと活動拠点の交通の質を改善することによって,活動拠点の魅力を改善し,市民・企業・行政に対して,生活の質の向上,企業活動の改善,税収の増加等の効果をもたらすもの」と整理した。具体的な事例研究としては,都心等の活動拠点の配置と公共交通に重点を置いたアクセシビリティの改善に取り組む事例,ならびに活動拠点の交通の質の改善に取り組む事例を取り上げて,その目的・施策・制度ならびに効果について,検討した。報告書には,これらの成果をまとめている。国内事例としては,中山間地域の事例として津山市を取り上げて「利用される公共交通づくり」について検討するとともに,駅跡地を包含する中心市街地等の活性化に資するものとして,全国の線路跡地並びに駅跡地の再活用の事例調査結果をまとめた。海外事例としては,地域活性化と交通計画の典型的な事例として,ボローニャ(イタリア)の最新動向を整理し,一端中止された都心自動車流入規制が再開され,年間免許制度による物流車両の流入抑制,監視カメラによる取締り,パークアンドライド,カーシェアリング,自転車利用促進などの新しい施策など短期交通計画の実施状況とともに,市の構造計画,県の広域計画に含まれる長期交通計画と土地利用計画との関係等を整理した。また,クリチバ市の最新動向として,広域連携と市南部地域の一体的開発ならびに貨物線跡地を活用したマルチモーダルプランの内容を整理した。加えて,地域活性化に資する交通計画に重要な影響を及ぼす,都市構造の在り方,広域計画の在り方に関連して,ベルリン・ブランデンブルク地域における縮退の時代の減築による都市整備,ドイツ・ルール地方における広域都市圏の形成と広域ガバナンスの構築プロセスについても検討した。(著者抄録)