抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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「かぐや」衛星搭載MAP-PACEが高度100kmの月周回軌道で低エネルギーイオンの連続観測を開始して以来1年が経過した。プラズマ観測装置MAP-PACEは「かぐや」に搭載された14の観測装置のうちの一つであり,月周辺プラズマの観測を行う。MAP-PACEは,電子観測器ESA-S1,S2,イオン観測器IMAとIEAの4種類のセンサーで構成されている。各センサーは半球面の視野を持っており,2台の電子観測器と2台のイオン観測器で低エネルギー電子とイオンの3次元分布関数を計測することができる。イオン観測器のうち月面方向に視野を持つIMAは質量分析器であり,高度100kmの月周回軌道でこれまで観測された事の無かったイオンの質量分析を行った。MAP-PACE-IEA,IMAの観測によって初めて明らかになった月周辺における低エネルギーイオンの分布は,太陽風を別にすると次の4種類の特徴的な分布に大別できる。1)月表面で反射/散乱された太陽風プロトン。2)月面磁気異常によって反射された太陽風イオン。3)月面で反射/散乱されたイオンが太陽風中の電場によってピックアップされ,加速されたもの。4)月面/月面近傍の月大気を起源とするイオン。太陽風の反射/散乱は月周回で初めてその存在が観測されたが,グローバルな固有磁場が無く大気の希薄な天体には普遍的に存在するプロセスでありそれらの太陽風によるピックアップ加速も含めて天体周辺環境において無視できない重要なプロセスである。月面/月面近傍の月大気を起源とするイオンの観測も重要な成果のひとつである。これらのイオンの質量プロファイルを見ると,C
+,O
+やNa
+/Mg
+,K
+/Ar
+などの重いイオンが含まれており,イオンが生成された月面位置との関係を調べる事で月面組成についての情報が得られるものと考えられる。(著者抄録)