抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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電子常磁性共鳴(EPR)法と低速タンブリングシミュレーション法を組合わせて角質層(SC)の脂質構造を検討し,シミュレーションから計算された角質層の整列性が,SC脂質を評価するための適切なインデックスとなることを見出した。ヒト治験者の2か所(二の腕と脛)のSCを,樹脂で被膜した薄ガラス板を用いて数分の時間を置いて何回か削り取る。この試料のSC整列状態をモニターするスピンプローブとして,5-ドキシルステアリン酸(5-DSA)と3β-ドキシル-5α-コレスタン(CHL)を用いた。その結果,5-DSA標識SCのEPRスペクトルは一回目に削り取ったSCに特徴的ピークを示したが,CHL標識SCのEPRは,ピーク強度を除いて各削取試料間で有意差はなかった。また,スペクトルデータからは,CHLが5-DSAほど容易には脂質層に取込まれないことが分かった。次に,詳細脂質構造を解析するために,EPRスペクトルの低速タンブリングシミュレーションを行なった。その結果,5-DSAに関するシミュレーションでは,角質層の深さ依存的にSC整列状態値に差異が見られた。以上の結果をもとに,EPRはシミュレーション解析と組合わせると,詳細なSC構造情報を提供してくれることが判明した。