抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
近年,電磁誘導,共振等の原理を利用した近距離無線電力伝送技術が注目されている。本稿では,共振器結合形無線電力伝送システム回路設計の最新の研究成果について解説する。高周波回路設計では,回路整合による伝送損最小化が目標となる。これに対し,結合共振器形無線電力伝送システムは,整合する周波数範囲が狭すぎると実用的でなく,個々の回路素子にも損失があるため,整合だけでは伝送損最小の十分条件とはならない。このため,回路整合が取れていること,動作周波数範囲が広いこと,伝送損が最小であること,が設計目標となる。本稿では初めに,力率,または整合を重視する設計法と,帯域フィルタ(BPF)設計法を元に,50Ω系電源に対してこれらの設計手法を簡略化して「整合条件」,「力率条件」,「フィルタ条件」という名によって検討した。その結果,無線電力伝送(WPT)システムにおいて,もし高周波技術で用いられる50Ω電源を用いるのであれば,BPF理論に基づく設計が帯域幅,伝送損の両面において最適な解を与えることを明らかにした。次にシステムの高効率化を目指す場合に重要となるスイッチング電源を想定し,内部抵抗が0Ωとしたモデルに対して設計手法を比較した。このような電源は汎用性を旨として設計されることはまれで,常に負荷と一外のものとして設計されるという伝統によっている。これに加えて負荷についても,整流回路を伴うため,そのインピーダンスは複素数であり,かつ入力電力に対して非線形であるという困難も追加される。したがってスイッチング電源を想定した設計は簡単ではないことがわかる。しかし,これらを乗り越えながら行う設計はやりがいのある仕事である。