抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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X線吸収微細構造(XAFS)分析を適用して,日本の土壌から抽出した標準フミン酸物質との反応におけるCr(VI/III)スペシエーションを推定した。フミン酸によるCr(VI)の還元の程度は腐植化作用の程度の違いによって異なる。カルボキシル腐植物質の含有量が高いほど,腐植物質へのCr(III)の吸着は高かった。フミン酸によるCr(VI)の還元実験の後,フミン酸と結合したCrは三価の状態にある。しかし,顕著な量のCr(VI)が溶液に残る。Cr(VI)実験系のX線吸収近傍端構造(XANES)スペクトルは,低pH条件でのフミン酸へ吸着したCr(III)のものとほぼ同一であった。しかし,フミン酸によるCr(III)の吸着においては,Crは部分的にCr(OH)
3・nH
2Oとして析出する。pHが高いほどその濃度は高かった。異なるフミン酸と反応したCr(VI/III)のXANESスペクトルは系統的な違いを示さず,官能基濃度の違いによらず腐植物質へのCrの結合形態は共通であることを示唆する。HA-Cr試料に対する参照化合物のXANESスペクトルを用いた線形フィッティングは,50%の水和Cr(III)がHAに吸着され,残りのCr(III)がHAのカルボン酸に結合していることを示唆する。フミン酸に結合しているCrの局所構造を拡張X線吸収微細構造(EXAFS)を用いて特定した。フミン酸に結合したCrのEXAFSの特徴は,酸素配位圏の単純な八面体対象をもったCr
3+アコイオンのものと似ていた。Crサイトの周囲のフミン酸のカルボキシル基の明確な存在は示されない。C原子の後方散乱振幅は波数の増加とともに急激に弱くなり,またO原子及びCr原子のものより小さいために,C原子からの散乱は認識できなかった可能性がある。XANESスペクトルの線形フィッティングの結果を考えると,HAに結合したCrの構造モードはR-COO-Cr-(OH
2)
5である。(翻訳著者抄録)