抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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文部科学省による委託事業「21世紀気候変動予測革新プログラム」(以下革新プロ)において得られた成果を,特に第5期結合モデル相互比較計画(CMIP5)に提出された予測シミュレーション実験結果に焦点を置いて報告する。国内からCMIP5に提出されたデータの多くが革新プロのもと作成された。革新プロにおけるCMIP5実験は,100年以上の時間スケールにわたる長期的な気候変化予測を担当するチーム(以下長期予測チーム),数年~数十年規模の気候変動を担当するチーム(以下近未来予測チーム),超高解像度のモデルを用いて極端な気象現象の変化を予測するチーム(以下極端現象チーム)に分かれて実施した。長期予測チームでは,20世紀気候変動再現実験の再現性向上や将来の植生分布移動の予測,近未来予測チームでは,温暖化予測モデル初期値化手法の確立や,それを通した数年規模の気候変動予測可能性の向上,極端現象チームでは,日本に接近する台風の強度変化予測や日本の将来の確率降水量マップの作成といった成果が得られている。また,革新プロを通して,温暖化の予測分野と影響評価分野との連携が密に行われるようになったことは,今後の両分野にとって好ましい遺産と言える。革新プロのこうした成果は,文部科学省による新規事業「気候変動リスク情報創生プログラム」に引き継がれ,さらに発展して温暖化対策立案へ活用されることが期待されている。(著者抄録)