抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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新幹線の沿線騒音特に空力音の低減は重要な課題となっている中で,パンタグラフ舟体の空力音の寄与が大きいことが分かっている。舟体から生じる空力音は,主として舟体背後に生じるカルマン渦に起因するエオルス音と,乱流により生じる広帯域音が複合した音である。過去の研究によるこれら騒音の低減手法は短期的な実用化を目指した対策であり,流体力学的には受動的に流れを整流する手法に分類される。さらなる低減を実現するために,鉄道総研では,近年,流れ場制御手法に着目し,流れ場制御を用いた空力音低減手法をパンタグラフに適用する検討を行っている。既に,プラズマアクチュエータ(以下,PA)やシンセティックジェットアクチュエータ(以下,SJA)を舟体に適用した基礎検討結果を報告した。本稿では,はじめに,PAの流れ場制御メカニズムを高風速域で実現する手法として,定常吸い込み手法に関する検討結果について述べ,次にSJAの流れ場制御効率向上についての検討結果について述べた。定常吸い込み手法に関する基礎検討から以下のことがわかった。1)舟体の剥離点近傍において定常的に吸い込みを行うことで,カルマン渦の巻き込みが弱まり,エオルス音が低減する。2)定常吸い込み手法の流れ場制御効果は,吸い込み口の流速よりも吸い込みの流量によって整理される。3)定常吸い込み手法によって剥離を抑制した場合,広帯域で騒音レベルが増加する。これは,吸込み流と剥離せん断層の干渉に起因すると考えられる。次に,SJAによる流れ場制御効率向上についての検討結果からは次のことがわかった。4)SJAの噴出口のアスペクト比を変更することによって,渦輪の特性調整が可能である。5)SJAの噴出口の形状を変更することによって,同じ動作条件でSJAを適用した場合でも,エオルス音低減効果を向上することが可能である。今後は,高風速域で全体音を低減できる空力音低減手法を目指して実用的な空力音低減手法の提案を行う予定である。