抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本における食育の効果的な方法について検討するための基礎資料を得ることを目的とし,酪農教育ファームの発達しているフランスの現状について,現地視察および文献調査を実施した。視察先は,フランスの教育ファームの中心的役割を果たしている国立ランブイエ牧場と個人経営のリビエ教育ファーム,都市にあるパリ市営ファームを選定した。調査の結果,主に以下のことが明らかとなった。フランスでは,以前から農業教育に対する予算措置や省間委員会の設置がなされており,農村地域の活性化に資する人材の育成や持続可能な開発を重視する等,農業教育に対する行政の支援が厚く,また長期的かつ多面的な視野に立って農業教育が推進されていた。日本とフランスでは,ファームの絶対数はもちろんのこと,1ファーム当たりの来場者数にも大差があり,フランスでは酪農教育ファームが浸透している様子がうかがわれた。視察した3施設いずれも,説明用パネルが各所に掲示されており,見学者の農業に対する意識を喚起したり,自主学習を支援する配慮がなされていた。フランスの教育ファームで提供されている体験は,対象者に応じて目的や内容が工夫されているものが多く,教育内容が充実していることが示唆された。近年日本においても,複数の省庁による連携事業として農業等の体験的学習を推進する動きが見られるようになった。特に酪農教育ファームは,幅広い年齢層に総合的な食育を提供できる場として大きな可能性を有しており,今後さらに学校教育等で積極的に活用することが望まれると同時に,研修制度の充実や財政的支援体制の整備,若手酪農家の積極的活用等が重要と考えられた。(著者抄録)