抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
再生可能エネルギー資源を地域自らが利活用し,地域経済基盤を確立することで,地域自らが自律化することが重要であり,その担い手としてエネルギー協同組合/公社と呼ばれる組織は注目を浴びてきた。そもそも地域に賦存する太陽光・風力・水力バイオマス・地熱といった再生可能エネルギー源を利活用し,それをエネルギーに変換,販売することによって得られた利益を原資としながら,そこに住む人々が,安全安心かつ文化的な暮らしを実現することが重要である。ドイツの電力事業は,ローカルな領域において,自治体の公社であるシュタットベルケが運営する伝統がある。2011年,連邦政府が脱原発に舵をきったこともあり,特に農村地域において,地域のエネルギー供給をできるだけ早く,完全に再生可能エネルギーに転換しようという運動が増加している。「100%再生可能エネルギー地域」の急激な増加や,600以上のエネルギー協同組合の設立も,地域の中で,エネルギー供給のデザインに参加したいと考える市民が増えていることを,示している。エネルギーインフラを自治体が所有・運用することで稼ぐというビジネスモデルは,日本ではまだ社会的関心事とはなっていないが,地域の実質所得と雇用を増やし,独自の財源を獲得できる手段として,真剣に検討すべきである。先駆的な日本における「自治体エネルギー公益事業体」は,その事業体そのものが黒字で持続的に地域経営できるだけでなく,まさに「市民生活の満足度の最大化」を,大手電力会社よりも安価な電力供給,その他ライフラインとのセット販売,高齢化福祉事業をとおして実現しようとする主体である。