抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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カドミウム(Cd)は食品汚染物質であるが,食品衛生法はカキや野生鳥獣肉(ジビエ)中の基準値を設定していない。農水畜産物のCd含有の実態を調査して情報提供することは,消費者のCd摂取量を低減するという食品衛生目標の達成に寄与する。そこで,広島県の山間地域で購入したジビエの,過剰摂取が健康を阻害する亜鉛(Zn)およびCd含有量を測定し,広島湾北部潮干帯に棲息する野生カキのZnとCdの含有量と比較検討した。【材料と方法】1)調査の主旨に同意した10歳代~90歳代の381名へ,喫食状況調査を実施した。2)野生カキ,カキ生息地の底質と市販ジビエのZnとCdの濃度を,ICP発光分析法で測定した。【結果】1)喫食状況調査で,ジビエの入手には購入より捕獲の頻度が高かったが(p<0.01),動物種別ではイノシシ肉では購入より捕獲の頻度が低く(p<0.05>,シカ肉では購入より捕獲の頻度が高かった(p<0.05)。2)ZnとCdの測定に供した市販のジビエはイノシシ肉2検体とシカ肉6検体であった。シカ肉では6検体中2検体に(33.3%)Cdを検出した。当該シカ肉のCd濃度は野生カキ生身のCd濃度より低値であった。3)ジビエの喫食が地域振興に「繋がる」との回答が30歳代と40歳代で過半数を占めた一方,「繋がらない」との回答は全年代で一定割合を占めた(24.6±3.6%)。【考察】中国山地は土壌中のCd濃度が高い(0.047~0.111ppm)。イノシシ肉では検出限界未満であったものの,曝露なしとは言えない。シカの筋肉にCdを検出したことから,腎への蓄積は大きいと推定された。ジビエ中のCd含有量を情報公開することで,消費者のCd摂取量低減に寄与でき,環境評価のための基礎資料になると考える。(著者抄録)