抄録/ポイント: 抄録/ポイント
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本研究の目的は,第二次世界大戦前の日本における山村の公共電力計画における住民の経済貢献と自治体の財政構造との関係を明らかにすることである。本論文では,電力供給会社から電力を供給されなかった中部日本の2つの事例を研究した。第1の事例は,1921年に地方自治体による電力供給を開始した岐阜県の宮村(現在,高山市)である。宮村は広大な公共林を所有しているので,多くの自主財源があった。公共電力供給計画の創業資金に対する住民の寄与は14.2%であった。ほとんどの住民が自身の農地と農場を所有しているので,経済格差は大きくはなかった。第2の事例は,1923年に自治体による電力供給を開始した長野県の三穂村(現在,飯田市)である。三穂村は自主財源を持たず,住民が公共電力供給プロジェクト設立の全体コストに対する資金を提供した。三穂村の社会構造には大きな経済格差があるので,土地所有者層が公共電力プロジェクトに対する多額の資金を提供した。このように,住民の負担は山村の財政構造によって異なった。2つの山村における地方自治体による電力供給プロジェクトの運営は地方財政に経済的余裕を与えた。(翻訳著者抄録)