抄録/ポイント: 抄録/ポイント
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本論文は,現代の建築におけるピロティの空間特性を理解することを目的とする。過去を振り返ると,コミュニケーションに関してはいつ,どこでという物理的,精神的制限はなかった。しかし,現代においては,人々は,ある空間の機能または特性を別の空間のものと明確に区別するための境界を文学的に表現していると言うことができるが,より少なく,あいまいに定義されていない空間を残している。人々は環境と接触する機会がないまま置かれている。今日の社会は,完全で持続可能な生活を維持するために限られた資源を効率的に利用することを強制しており,周囲に開かれた空間を持つ建物と都市を必要とし,いかなる明白な境界も無い曖昧さの状態を許容している。したがって,本論文で「境界空間」と呼ぶものとに対して,社会が要求していると言うことができる;「境界空間」は,空間の周辺を定義するだけでなく,両側の世界を連結する橋として機能する,体積的あるいは空間的な厚さをもつ境界「線」である。この境界空間へ誰かが踏み出すという義務は無く,空間とその周辺における活動の多様性を偶然に引き起こす鍵であると思われる。ピロティ空間が境界空間を創出するための戦略として建築分野で頻繁に使用されているが,多様な活動を行うためのオープンスペースを創出するためのデバイスとしては評価されていない。このような背景に基づいて,本研究の主要な目標をピロティの新しい概念的骨組を設定することとし,ピロティ空間をすべての可能な建築的接続を仲介する非意図的で制御されていない活動を引き起こす境界空間と定義した;内外,公民,人工自然,建築-都市関係。本論文では,境界空間として機能するピロティ空間の構成要素及びレイアウトに焦点を合わせて,現代期間におけるピロティの事例研究から始めた。解析の全体的な対象期間は55年であり,ルコルビジエが「建築革新のための5ポイント」の要素の一つとしてピロティをシステム化した1926年から始まり,ポスト現代主義者建築がトレンドとなった1980年までとした。本研究で参考となった126例は,日本の代表的な6つの建築雑誌から得られた。「新建築」,「建築文化」,「a+u」,「国際建築」,「近代建築」,「SD」である。ピロティ空間の本質的な大きさは,あらゆる場合に詳細に測定できた。研究の1段階において,天井高さ,天井および床の断面,および空間内に置かれた家具の測定を抽出し,その全ては,ピロティ空間において何が起こっているかに深く関係していた。これらの物理的要素を調べ,ピロティ空間が環境に接続される方法を参照することにより,ピロティ空間が所有する特徴的な傾向の一般的な理解を得た。また,建築設計におけるピロティ統合の建築家の意図を考察した。126例は,ピロティ空間が内部空間にどのように関連しているかとともに,外部からのアプローチにより分類された。この過程を通して,著者らは,ピロティが次の役割または特性の1つまたは多くを有することを実験的に結論した。(1)外部からの人々を迎える入口状空間,(2)孤立したバックヤード,(3)移動の多様性を可能にするフロントヤード,(4)内部と外部の間の分割,(5)位相空間条件への対応,(6)地面からの分離。(翻訳著者抄録)