抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年ヒシ属Trapa L.の過繁茂が確認されている国内6湖沼(シラルトロ湖,達古武沼,北印旛沼,西印旛沼,諏訪湖および三方湖)を対象に,Landsat/TMおよびETM+画像を用いて過去約25年間におけるヒシ属の分布面積変化の観測を行った。従来,衛星画像を用いた水生植物の分布推定には正規化植生指数(Normalized Difference Vegetation Index:NDVI)が広く使用されているが,この指標は湖面に集積したアオコも水生植物に誤分類してしまうことから,本研究では中間赤外域の反射率を含んだ指標である正規化水指数(Normalized Difference Water Index:NDWI)を用いた。衛星画像から推定したヒシ属の分布面積と現場実測値とを比較した結果,両者の間には良い一致が見られたが(R
2=0.82,N=8),やや過小推定の傾向を示した。これは,衛星画像から抽出できるヒシ属が,被度50%以上に限られていることに起因していると考えられた。また,シラルトロ湖,北印旛沼および三方湖について,ヒシ属の分布面積の季節変化を観測した結果,冬季から春季にかけてはほとんど変化せず,夏季に拡大し,秋季の終わりに縮小する傾向を示した。ヒシ属の生育が盛んな夏季の分布面積(複数のデータがある場合はその平均値)をその年の代表値とし,各湖沼における過去約25年間のヒシ属の分布面積の長期変化を観測した結果,多くの湖においてヒシ属の分布面積が2000年代に拡大(あるいは再繁茂)している傾向が見られた。(著者抄録)