抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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小麦粉懸濁液の糊化過程におけるリン脂質の動態について,ラピッドビスコアナライザーを用いて調べた。小麦粉や懸濁状態では,水飽和n-ブタノールによる熱(沸騰水)抽出リン脂質量が常温抽出量を上回っていた。特にリゾレシチン(LPC)量は常温抽出より熱抽出の方が4から5倍高かった。しかし,小麦粉糊液では,逆に常温抽出LPC量が熱抽出より高くなり,熱抽出のLPC量は粘度上昇中ほぼ一定であった。しかし,最高粘度に達した後,粘度が低下する段階では再び熱抽出量が常温抽出量より高くなった。他のリゾリン脂質も似たような変動を示した。また,糊化状態では,熱抽出LPCのパルミチン酸の割合は56.5%,常温抽出では37.2%だったが,リノール酸の割合は熱抽出で28%,常温抽出で51.9%であった。一方,n-acylphosphatidylethanolamine(AcylPE)とn-acyllysophosphatidylethanolamine(AcylLPE)は小麦粉や糊化過程では,常温抽出でしか抽出されなかったが,最高粘度に達した後,粘度が低下する段階では,常温抽出と熱抽出で抽出された。以上のことから,小麦粉懸濁液の糊化過程において,LPC等のリゾリン脂質とAcylPEおよびAcylLPEが変動することが明らかとなった。この結果は,小麦粉の糊化のメカニズムについて新たな情報を提供するものである。(著者抄録)