抄録/ポイント: 抄録/ポイント
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地熱は,我が国固有の豊富な再生可能エネルギー資源であり,我が国にとって太陽光や風力以上に発電ポテンシャルが高い。地熱発電に換算した資源量は約23GW分(現在の国内一般電気事業者の電源容量の約1割以上)と見積もられており,世界第3位の規模を誇る。しかし,これまでに設置された地熱発電所の容量は540MWにとどまっており,まだ大幅な増大の余地がある。他の再生可能エネルギーと比べ,地熱エネルギーの特徴は,電力のみならず多大な熱を供給できる点である。家庭で使用される電力の約半分は,給湯や暖房などの熱の生成に使用されているが,地熱は直接熱エネルギーとして供給できるメリットがある。しかも,太陽光や風力発電のように天候の影響を受けずに安定した供給源である。地熱エネルギーは,エネルギーの自給率向上とCO
2の排出削減に寄与するとともに,持続可能な地域を支える地産地消のエネルギーとなる。このように,地熱は持続可能な新たなエネルギー源となるだけでなく,熱を効率よく利用することによる省エネ効果はもちろんであるが,産業のあまりない地域に新産業をもたらす可能性を秘めている。つまり地熱の普及によって,直接・間接の要因を通じて地域住民の新たな雇用機会をもたらし,交流人口を増大させ,地域経済効果に寄与することも期待され,地域貢献のポテンシャルが大きい。実際に,地熱エネルギーによりエネルギー自給率が100%以上の地域が日本にもある。特に大震災からの復興を目指す東北地方は,折しも地熱資源に恵まれたエリアであり,また比較的寒冷な気候であるために,持続可能な熱の供給は温暖な地域よりも恩恵が大きい。大規模集中型の地熱発電ももちろん重要であるが,建設に長い年月を要することから,震災復興の観点では,バイナリー発電や温泉発電など,比較的短期間で実施できるものを手始めに地熱の利用が望まれる。今後円滑に地熱発電を導入するためには,発電事業を単独で計画するのではなく,地域全体で地熱発電を核とした総合的な地域未来設計を行い,国が支援していく仕組みが有効であると考える。他国での事例を参考に,法律の改正や技術開発支援などが望まれる。日常生活において必要な熱供給源として地熱資源を活用し,地熱発電を核としたコミュニティを構築し,国がそれを支援することで,低炭素社会が構築でき,また地域の活性化にもつながる。...(著者抄録)