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J-GLOBAL ID：201102260688040738   整理番号：11A0917013

香気成分と組織構造の比較解析による乾燥スィートバジルの品質評価

Quality Evaluation of Dry Sweet Basil Leaves with Comparative Analysis of Aroma Compounds and Leaf Tissue Structure

著者 (6件)： 佐川岳人 (エスビー食品 分析セ) ,  西香菜子 (エスビー食品 分析セ) ,  納富美穂 (エスビー食品 分析セ) ,  平岡龍之 (エスビー食品 分析セ) ,  塚本和巳 (農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研) ,  早川和一 (金沢大 医薬保健研究域)
資料名： 日本食品科学工学会誌  (Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology)
巻： 58  号： 5  ページ： 222-228  発行年： 2011年05月15日 
JST資料番号： F0895A  ISSN： 1341-027X  CODEN： NSKKEF  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 生スィートバジルを乾燥する際に引き起こされる香りの変化を,香気成分バランスやスィートバジルの組織構造とそのレオロジー特性について,比較解析を行う事で,生スィートバジルの香りを維持する為に必要とされる因子の探索を行った。スィートバジルの香気寄与成分として特定したシネオール,リナロール,オイゲノール,オクタナール,1-オクタノール,(E)-2-ヘキセナール,(Z)-3-ヘキセノールの7種類の香気成分は官能評価の特徴を説明する因子となると考えられる。その中でも,生スィートバジルの香りを特徴づける因子としては,微量成分バランスが大きな役割を果たし,ハーブ自体には(E)-2ヘキセナールや(Z)-3-ヘキセノールが存在するが,それがハーブティーに溶出されずオクタナールが高い比率で溶出されることが重要であった。そのような性質を持つ組織構造は,葉内部の細胞壁の形状が乾燥工程を経ても維持されており,その状態は貯蔵弾性率の測定でも比較説明が可能であることが明らかになった。これらの結果により,ハーブの組織構造とハーブティーとして溶出される香気成分バランスに密接な関係がある可能性が示唆された。但し,今回確認された(E)-2-ヘキセナールや(Z)-3-ヘキセノールはみどりの香りと称される物質の1つである。これらの物質は植物中のリノレン酸や配糖体を前駆体として酵素が関与し発現するものであり,食品加工時に発生することも知られている。今後は配糖体量の変化と酵素の関係についても検討を行い,組織構造変化の香りに対する影響をより明確にしてゆく必要があると考える。しかしながら,細胞壁の損傷が少ない状態であった真空乾燥スィートバジルが生特有の香りを保持していたという事実から,乾燥工程を経ることで喫食時に感じる香りの違いは,単純な香気成分の増減という因子だけではなく,組織構造変化という因子からも説明できる可能性が示唆された。乾燥ハーブの香りに対する品質評価を行う上で,乾燥ハーブからハーブティーに抽出されてゆく香気成分のバランス変化や内部組織構造変化の比較といった多面的なアプローチは,今後の有効な評価手法の1つとなることが期待できる。(著者抄録)

シソーラス用語： *芳香成分 ,  *シソ科 ,  *乾燥 ,  *食品加工 ,  *組織構造 ,  茶 ,  *評価 ,  配糖体 ,  食品レオロジー ,  細胞壁 ,  食品成分 ,  食品分析 ,  脂肪族アルコール ,  フェノール類 ,  アリル化合物 ,  フェノールエーテル ,  脂肪族アルデヒド ,  脂環式化合物 ,  酸素複素環化合物 ,  架橋化合物 ,  二環モノテルペン ,  鎖状モノテルペン ,  ポリエン ,  ω-3脂肪酸
準シソーラス用語： *スィートバジル ,  ハーブティー ,  *バジル ,  *食品乾燥 ,  *品質評価

分類 (2件)： 調味料,香辛料  (FJ10010W) ,  食品の化学・栄養価  (FJ01020J)

物質索引 (8件)： (E)-2-ヘキセナール ,  (Z)-3-ヘキセノール ,  1-オクタノール ,  オイゲノール ,  オクタナール ,  シネオール ,  リナロール ,  リノレン酸

引用文献 (16件)：

• 1) 野口友里沙,市村匡史,池田富喜夫,ガラスビーズの振動処理で生じるスィートバジル葉の香気成分,日本食品保蔵科学会誌,30, 65-68(2004).
• 2) 市村匡史,野口友里沙,木村正典,スィートバジル収穫後の乾燥処理が葉中精油含量とその成分割合に及ぼす影響,東京農大農学集報,53, 96-99(2003).
• 3) Bini, L.M. and Gentili, L., Secretion constituents of leaf glandular trichomes of Ocimum bajilicum L.. Flavour. Fragr. Chem., 143-150 (2000).
• 4) Yousif, A.N., Scaman, C.H. and Durance, T.D., Flavor volatiles and physical properties of vacuum-microwave- and airDried sweet basil (Ocimum bajilicum L.). J. Agric. Food Chem., 47, 4777-4781 (1999).
• 5) 湯川昌範,ハーブの科学,株式会社養賢堂,29-31(2003).

タイトルに関連する用語 (4件)： 香気成分 ,  組織構造 ,  解析 ,  品質評価