抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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二つの放牧飼養を行う農場から,舎飼期から放牧期にかけて経時的に生乳サンプルを採取し,味覚センサを用いてその味を測定した。その結果,2農場ともに酸性苦味(先味),渋味(先味),塩味(先味)及び甘味(先味)センサは舎飼期から放牧期にかけて一貫して有意に増加する傾向を示した。これらのセンサは放牧飼養に特異的に反応する可能性が高いセンサである。一般消費者をパネルとした大規模な官能評価試験を3度行い,味覚センサの評価との関連を検討した。評価に用いた牛乳は3回の試験で同様の飼養管理を行っていた4農場(放牧3農場及び舎飼1農場)の生乳を3加工処理(UHTホモ,HTSTホモ及びHTSTノンホモ)で加工した計12種の牛乳であった。ヒトによる官能評価では,牛乳のコクの強弱,甘味の強弱,後味の強弱及び総合評価,味覚センサでは塩基性苦味A及びB,酸性苦味,渋味,旨味及び塩味を評価した。その結果,酸性苦味及び渋味センサは常に放牧飼養で舎飼飼養と比較して高い値を示し,これらのセンサは放牧飼養特有の味もしくは成分に反応するセンサである。ヒトによる官能評価値は,試験毎ではほとんど全ての項目において牛乳間で差がみられ,一般消費者でも牛乳の味の違いを判断できることが明らかとなった。しかし,試験間でいずれの牛乳を好むかの基準が異なり,全ての消費者が牛乳の味の判断については統一された感覚を持っていないことも明らかとなった。したがって,本研究の結果からはヒトによる官能評価と味覚センサの評価との間に一貫した関係はみられなかった。さらに,訓練されたパネルを用いた官能評価試験を行い,味覚センサとの関連を明らかにする必要がある。(著者抄録)