抄録/ポイント: 抄録/ポイント
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本論の前編における最初の部分において,著者らは,タイ王国,バンコク市のスラム改善事業地,Klongtoey,70ライ地区において,住民が何故違法な建設工事を行っているかを検討した。結果として,違法な建設工事は,人々の間で許容できるレベル内に限られていた。前編における「合法/違法」を参考にして,本論では,住宅としての「合法建築」を定義し,それは,建設規則,信仰上のタブー,人々が許容できる常識からは逸脱するような様々な工事を組み込んだ。本論の目的は,住宅空間におけるタブーに焦点を合わせて,「合法建築」を明らかにすることである。住宅空間の構成を分析する。住宅空間は,ナイ・バーン(屋内空間)とナイ・バーンの外部に分類できる。ナイ・バーンにある空間は,居間,寝室,台所,トイレ,浴室などである。ナイ・バーンの外部に属する空間は,ナア・バーン(ナイ・バーンの前部),ラーン・バーン(ナイ・バーンの後部),およびベランダである。「拡張前方モデル」と「拡張前方・後方・2階建て建物モデル」がナア・バーンに設置され,「拡張前方・後方モデル」と「拡張前方・後方・2階モデル」がナア・バーンとラーン・バーンに設けられている。仏教思想と信仰心を,必要な物質と信仰上のタブーの観点から分析する。仏教に必要なものは次の3つのタイプに分けられる。信仰上で必要なものは,聖なる柱,神棚,お守りである。タブーは,70ライ地区コミュニティにおいては,必要な物質の存在,物質の配置,方向,高さ,および物質の除去に関するものである。存在のタブーは,3つのタイプに分類することができた;a1)住宅は,2つの聖なる柱と神棚を持つ必要がある。a2)住宅は,少なくとも2つの聖なる柱か神棚のうちの1つを持たなければならない。a3)住宅は,2つの聖なる柱も神棚も持たないかもしれない。配置のタブーは2つのタイプに分類できる;b1)神棚は太陽の当たる位置に配置しなければならない。b2)信仰心に対する物質は,外部ナイ・バーンに置かれなければならない。方向のタブーは,3つのタイプに分類することができた。c1)仏教に必要な物質,神棚は,住民が睡眠中にその頭部が南または西に向いてはならない。c2)彼らの頭部は西だけに向いてはならない。c3)西に向くことになる。高さのタブーは,2つのタイプに分類することができた;d1)神棚は住宅内で最も高い位置になければならない。d2)神棚が住宅内の最も高い位置に置かれていない。建設,除去,および再配置のタブーは1つのタイプである;e1)2つの聖なる柱と神棚は,儀式なしで建設,除去,再配置してはならない。これらのタブーは3つのタイプに分類できる。最初に,タブーのうち,a1,b1,c1,e1のようなものは70ライ地区コミュニティを含む他の地区でも見ることができる。第二に,a2,b2,c2,d1のようなタブーは,70ライ地区コミュニティだけで見られると見なすことができる。第3に,a3,c3,d2のようなタブーは,別のタブーからは離れたものである。その結果,「合法建築」は,構築,除去,再配置そして配置に関するタブーが見られる住宅として定義でき,また,その存在,方向,高さに関するタブーからの逸脱を持つ建築工事を含むことができる。(翻訳著者抄録)