抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿は,南海トラフに沿った浜名湖東岸の六間川低地で行った津波堆積物調査について,コア試料から如何にして津波堆積物を検出するかに焦点を当てて記述した。本地域において汽水入江成の塩分を含んだ泥質の地層を侵食的に覆い,淡水の泥炭質堆積物に覆われた砂層が確認された。この砂層は,細粒から極細粒の淘汰の良い砂から成り,斜交成層し,旧海岸から内陸部600mを超える範囲まで,最大層厚~25cmの厚さで分布している。これは約3400~3300年前に,津波または台風のようなエネルギーの高いエベントに伴って形成された可能性があるが,以下のような堆積学的・古生物学的特徴により津波堆積物であると認定された:(1)砂層の形態と水平分布が海側から陸側へ長距離の遡上を示すこと,(2)風波よりも格段に長い周期で遡上と戻り流れが繰り返したこと,(3)海水の浸入を示す海生珪藻化石を多量に含むこと,および(4)砂層の形成に伴って干満のある汽水の入江から淡水の泥炭湿地へと環境が急変したこと。