抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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以上,見てきたように,SAXS測定により食品状態のままの乳製品において,種々のナノ構造が観測できた.得られた結果は以下の通りである.・乳脂肪の鎖長構造として2L構造が低脂肪乳をのぞく,全ての試料で観測された.さらに22 months試料ではでは2L構造に加えて,3L構造が観測された.・多くの先行研究と同様,low fat milk とregular milkでは直径2~3nmのCCPに起因する散乱が観測され,ほぼ同じサイズのCCPがmozzarellaでも観測された.一方,2,6,22 months試料では直径6~17nmの粒子からの散乱が観測された.プロファイル形状の熱安定性も含め,この散乱はCCP起因と考えられ,熟成チーズではCCPの凝集が生じている可能性が高い.以上の結果は,これまで食品状態に観測のための加工を加えた試料で観測されてきた結果が食品状態のままの乳製品でも問題なく観測できることを示している.それゆえ,今回得られた個々の情報は既知のものも多いが,原料となる牛乳からチーズまでを全く試料加工なしでナノ構造を観測した初めての例と考えられる.また,mozzarellaおよび熟成チーズでは作製プロセスや熟成期間の違いによると考えられるCCPサイズの差異や体積分率の差異が観測された.市販品を対象とした検討では,原料乳や製造プロセスが異なることに起因するナノ構造の差異を排除できない.そこで,液体である乳からチーズに至る凝乳プロセスを詳細に検討する目的で原料乳や作製環境を完全に把握できる環境下で同様な検討を酪農学園大学との共同プロジェクトとして開始している.その結果について今後,随時報告予定である.(著者抄録)