抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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成人ではディストラクタにまぎれて短時間しか提示されない視覚ターゲットの認知が,顕著な聴覚刺激を同時に提示することによって促進されることが示されている。Wadaら(2009)は,上記のターゲットと類似した条件で提示される4つのパックマン要素によって構成される主観的輪郭図形への選好注視が,生後7カ月から音によって促進されることを示した。これは乳児期の多感覚知覚システムの変容を示すものと考えられるが,主観的輪郭の知覚の発達,もしくは音による注意の促進を反映している可能性がある。本研究では,Wadaらの研究で用いた主観的輪郭図形のパックマンを逆向きにした実験(実験1)と目立つ音の提示タイミングをずらした実験(実験2)を行い,上記の課題を検証した。これらの実験の結果,聴覚によるターゲットへの選好注視の促進は主観的輪郭図形に限らず生じ,聴覚刺激提示がターゲットと同時でなければ生じないことが示された。これらの結果は,生後7カ月に生じる音による視覚探索促進が乳児期の多感覚情報の体制化の発現を意味することを支持する。(著者抄録)