抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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生全脂大豆粉(RSF)とグリシンベタイン(GB)添加によるパン生地の冷凍耐性向上効果を調べた。無添加(対照)群とRSF群のパン容積は2.8及び3.0ml/gとなり,相対容積比は107%だった。GB添加群でも同比104%と増加したが,加熱脱臭処理大豆粉(HT-SF)添加群は98%と減少した。RSF中の熱で失活する成分が冷凍パン容積の増加に有効と示唆した。RSF1.0%とGB0.5%添加生地では120%と最も高い容積比を示した。焼成後のパンでは無添加よりも容積値が向上したが,非冷凍生地で作成したパンと比べると約90%で,RSFとGB添加でも冷凍障害を認めた。-20°C1週間保存後解凍した場合,RSFとGB添加では生地の伸びが良好で,スムーズな物性だったが,無添加生地は硬く,伸びが悪かった。これらの生地を焼成したパンの最大荷重値はRSFとGB添加で284.9gfと無添加の445.3gfよりも小さく,柔らかさが保持されていたが,非冷凍生地の添加220gf,無添加219.8gfよりも高値だった。走査電子顕微鏡観察ではRSFとGB添加生地はデンプン粒を覆うようにグルテンが膜上に広がっていたが,無添加ではグルテン膜が切れ,ネットワークが形成していないことを示唆した。示差走査熱量測定曲線の氷結晶の生成を伴う発熱ピークはRSFとGB添加で-4.9°C,RSF添加で-4.9°C,無添加で-4.5°Cより低い温度にシフトし,発熱量はRSFとGB添加では対照よりも約9%減少していた。GB又はRSF中の成分が記事中の凍結水(自由水)量を減少させている可能性を示唆した。冷凍保存生地から抽出した蛋白質のSDS電気泳動ではグロブリン画分蛋白質中に6.9万と3.6万の分子量領域に特異的バンドが検出され,大豆グロブリンの一部だった。