抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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動物性素材の鶏ささ身と植物性素材のじゃがいもを用いてから揚げを行った。それぞれの素材に片栗粉あるいは小麦粉をまぶして揚げた場合に,フライ油の風味点数が3(油の風味が,油っぽく,重く,油臭く感じられ,かつ口中での消去性の悪い状態)に達した時点を目安に,油の使用限界を判定できるかを調べ,以下の結果が得られた。(1)油の風味点数の低下は鶏ささ身に比べてじゃがいものほうが遅かった。(2)フライ油の官能評価から,油臭さと粘度の評点の変化とフライ油の風味点数の変化には相関関係が観られたことから,油臭さと粘度はフライ油の風味点数を判断する要素として関わっていることが示唆された。また,フライ油の色は,揚げ種や揚げ方法に左右されるため,使用限界の基準として,フライ油の風味からの方が判定し易いと考えられた。(3)フライ油の風味点数が3に達した油で揚げた揚げ物の評価は,じゃがいもでは何れの揚げ方法の場合も油臭く,美味しくなかった。しかし,鶏ささ身片栗粉揚げの場合,揚げ物の外観,揚がり具合および味の評価は普通であり,フライ油の劣化の状態と一致しなかった。フライ油の風味点数と揚げ物の油臭さの評価はいずれの揚げ種,揚げ方法でも相関関係があった。したがって,フライ油の使用限界を考える際に,揚げ物よりもフライ油の風味から判断する方が,揚げ種,揚げ方法に左右されず判断し易く,油の劣化を早く察知することが出来ると考えられた。(4)風味点数3のフライ油は,劣化度の数値から判断して安全性に問題のない範囲であるが,風味点数3の油で揚げた揚げ物自体は,嗜好的な評価が低下し始める状態であることから,フライ油の使用限界の判定に油の風味点数3を目安に用いることは,家庭での簡便な方法として有効であると考えられた。(著者抄録)